監督指導(立入調査)や送検等の状況について公表
令和8年8月6日(木)厚生労働省は、労働基準監督署等が自動車運転者を使用する事業場(トラック・バス・タクシーなど)に対して行った監督指導(立入調査)や送検等の状況について取りまとめ、公表しました。
今回の公表は、令和7年中に労働基準関係法令の違反が疑われた4,123事業場への監督指導結果をまとめたものです。
【監督指導の状況】約8割の事業場で法令違反が発覚
厚生労働省の実施した監督指導では、依然として多くの事業場で違反が見つかっています。特に「労働時間」や「拘束時間」に関する問題が目立ちます。
| 調査項目 | 違反割合 / 件数 |
| 労働基準関係法令の違反 | 81.2%(3,346事業場) |
| 改善基準告示の違反 | 53.1%(2,188事業場) |
| 悪質なケースによる送検 | 67件 |

主な違反内容の内訳
労働基準関係法令の違反
- 労働時間(39.3%)
- 割増賃金の支払い(19.7%)
- 労働時間の状況把握(6.3%)
改善基準告示の違反
- 最大拘束時間(40.2%)
- 休息期間(28.3%)
- 総拘束時間(27.4%)
指導に応じない重大・悪質な事業場に対しては送検が行われるなど、取り締まりは確実に厳しくなっています。

厚生労働省による自動車運転者の適正な労働条件の確保
ドライバーの働き方改革を進めるため、厚生労働省は「自動車運転者を雇う企業」への監視やサポートを強化しています。主な取り組みは以下の3点です。
法令の周知と指導:労働基準法などのルール徹底を呼びかけるとともに、違反の疑いがある企業には立ち入り指導を実施。
悪質な違反への厳罰化:度重なる指導に従わないなど、悪質なケースは検察へ送検する厳しい対応をとる。
「荷主」へのアプローチ:トラック運転手の長時間労働や荷待ち時間を減らすため、専門チーム(荷主特別対策チーム)が発着荷主へ直接改善を要請。
ドライバーの労働環境を守るため、企業だけでなく荷主も含めた社会全体での見直しが進められています。
長時間の荷待ちを解消する「荷主特別対策チーム」とは?
ドライバーの長時間労働の大きな要因となっているのが、積み込みや荷降ろし時の「長時間の荷待ち」です。これを撲滅するために活動しているのが、厚生労働省の「荷主特別対策チーム」です。
都道府県労働局や労働基準監督署の専門メンバーで編成された組織で、運送業者だけでなく、荷主企業側へも直接アプローチを行う点が大きな特徴です。
主に以下の取り組みを行っています。
荷主への改善アドバイス:荷待ち時間の短縮に向けて、実際の「改善好事例」などを紹介しながら発着荷主へ具体的なアドバイスを実施。
「情報メール窓口」による監視:厚生労働省HPに開設された専用窓口で、長時間の荷待ちを発生させている疑いのある荷主情報を収集。
現場への要請と省庁連携:寄せられた情報を元に労働基準監督署が荷主へ直接要請を行うほか、国土交通省へも情報を共有して連携。

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「あわせて読みたいQ&A」
- Q改善基準告示とは何ですか?労働基準法とは違うのですか?
- A
労働基準法が全職種共通のルールであるのに対し、改善基準告示(自動車運転者の労働時間の改善のための基準)はドライバーの働き方に特化した厚生労働省のルールです。拘束時間や休息期間(勤務間のインターバル)、運転時間の上限などが細かく定められています。
- Q「荷主特別対策チーム」から要請や指導を受けるのはどんなケースですか?
- A
主に「恒常的な長時間の荷待ち」が発生している場合です。ドライバーに過度な待機時間を生じさせている疑いがある発着荷主に対して、改善アドバイスや要請が行われます。
- Q厚生労働省の「情報メール窓口」には誰でも情報を寄せられますか?
- A
はい、厚生労働省のホームページ内に設置されており、ドライバー本人や運送事業者などから情報提供が可能です。収集された情報は労働基準監督署による確認や要請に活用されるほか、国土交通省へも共有されます。
- Q違反が発覚した場合、すぐに送検されるのでしょうか?
- A
通常はまず労働基準監督署による「監督指導(立入調査)」が行われ、是正勧告や指導がなされます。しかし、度重なる指導にもかかわらず是正しない場合や、著しく悪質なケースに対しては、即座に送検などの厳正な処置が取られます。
- Q荷主企業として、罰則を避けるために今すぐできる対策はありますか?
- A
「バース予約システムの導入による荷待ち時間の削減」や「荷積み・荷降ろし作業の切り分け」、「出荷時間の分散」などが効果的です。また、荷主特別対策チームが紹介している他社の改善好事例を参考に、運送業者と協働で改善を進めることが推奨されています。

