一般貨物自動車運送事業許可申請

一般貨物自動車運送事業とは、不特定多数の荷主から依頼を受け有償で貨物を運ぶ事業です。事業を始めるには、一般貨物自動車運送事業許可の取得が必要です。

一般貨物自動車運送事業の許可申請の手順は複雑ですので、必要な書類をしっかり準備することが重要です。

当事務所では一般貨物自動車運送事業に関する申請をご相談いただけます

一般貨物自動車運送事業運輸開始までの流れ

  1. お問い合わせ・面談
  2. お見積り・ご契約・ご入金
  3. 現地調査・必要書類の収集
  4. 許可申請・役員法令試験
  5. 許可処分
  6. 許可取得後の手続き
  7. 運輸開始届の提出

 許可申請の前提条件

  • 事業計画が適正であること。
    (輸送計画、人員、車両台数、運行の管理体制などを含む)
  • 営業所、車庫、休憩・睡眠施設が法令に基づいた基準を満たしていること。
  • 資金計画が適正であること。
    (十分な開業資金があること)
  • 運行管理体制として、運行管理者や整備管理者を配置すること。
  • 欠格事由に該当しないこと。

許可に必要な主な5つの要件

1.場所的要件

営業所

  • 自己所有の場合は登記簿謄本の提出、賃貸の場合は申請日より2年以上の賃貸借契約書の提出が必要だが自動更新の旨の記載または次回2年以上の契約をする誓約書の提出し使用権原の証明
  • 都市計画法・建築基準法などの関係法令に抵触しないこと
  • 机、イス、電話、PC、プリンターなどの事業遂行に必要な設備を整える

休憩・睡眠施設

  • 原則営業所や車庫に併設されていること

車庫

  • 営業所と同様に使用権原の証明
  • 車庫は、営業所に紐づけという考えですが、数カ所に分かれても可能
  • 営業所と車庫の距離が、基本は直線距離で10㎞以内
    (東京23区と横浜市、川崎は20㎞)
  • 車両間の距離が前後左右50cm以上必要で、基本は、普通1台38㎡、小型1台11㎡、けん引1台27㎡、被けん引1台36㎡で計算
  • 他の用途と明確に区別された専用の区画であること
  • 地目が農地(田・畑)でないこと
  • 前面道路が原則として道路幅員証明書により車両制限令で定められた範囲であること 

2.資金的要件

  • 所要資金及び調達方法が適切なものであること
  • 人件費(役員報酬・給与・法定福利費等)、燃料費、修繕費、車両費、施設使用料、備品費、保険料、登録免許税、その他
  • これらを裏付ける金融機関の残高証明書を提出し、審査中は常時残高を維持する必要
  • 2回目の残高証明書は、法令試験合格後に提出を求められ申請時と同じ金融機関の同じ口座のものを提出

3.人的要件

  • 事業主及び役員全員が、次にあげる貨物自動車運送事業法5条の欠格事由に当てはまらないこと
  • 1年以上の懲役または禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者。
  • 一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可取り消しを受け、その取り消しの日から5年を経過しない者。
  • 未成年者又は成年被後見人。

運行管理者を確保すること

運送業の営業所には、車両台数に応じた運行管理者を置く必要があり、申請時に確保できていなくても確保予定で申請可能です。

運行管理者になるには、2つの方法があります。
  • 国家資格試験である運行管理者試験に合格する事(試験は3月と8月頃の年2回)
    • 受験するにあたり、次のいずれかの受験資格が必要
      • 運行管理に関し1年以上の実務経験を有する者
      • 自動車事故対策機構等が行う3日間の基礎講習を受講した者
  • 5年以上の実務経験及び5回以上の自動車事故対策機構等の講習を受講すること
    • 貨物事業者での運行管理に関し、5年以上の実経験があること
    • 自動車事故対策機構等の基礎講習及び一般講習を5回以上受講すること(1年に1回しかカウントされません)

運行管理者の人数

運行管理者は営業所に必ず置かなければならない人員ですが、車両台数によってその必要人数が変わります

  • ア、0~29台 1人
  • イ、30~59台 2人
  • ウ、60~89台 3人

運行管理者補助者の選任

運行管理者補助者は運行管理者を補助する立場にあり、点呼の3分の2を取ることができます。選任は義務付けられてはいませんが、実際には必要になるので、早めに人選しておくと良いでしょう。

補助者になるには、自動車事故対策機構等の基礎講習を3日間受ける必要があります。

整備管理者を選任すること

運送業の営業所には、整備管理者を必ず置く必要があります。申請時に確保できていなくても確保予定で申請することができます。

整備管理者になるには、2つの方法があります。
  • 整備士の資格を有する者
    • 1級、2級、3級の自動車整備士の資格を持つ者
  • 2年以上の実務経験+整備管理者選任前研修(各運輸支局で受講)を修了した者(2年間一般貨物運送事業所のドライバーとして点検をしていた実績も実務経験になります)。

必要人数の運転者を確保すること

日々雇入れられる者、2ヶ月以内の期間を定めて雇用される者、使用期間中の者(14日を超えて引き続き使用される者を除く)は認められません。申請時に確保できていなくても確保予定であれば可能です。

4.車両の要件

  • 原則5台以上の車両を用意すること
  • 使用権原があること

5.役員法令試験

一般貨物自動車運送事業を申請する者あるいは法人の役員は、トラック運送の遂行に必要な法令の知識を持っていることが求められるため、法令試験に合格することが必須です。

受験する人

法人の場合は常勤役員のうち一人、個人の場合は事業主が受験

試験日

  • 申請書が運輸支局で受理されると、試験案内が申請者に郵送通知
  • 試験日は奇数月で、2カ月に1回、試験時間は50分
  • 出題形式は○×式で全30問中24問以上の正解で合格 再試験は1回のみチャンスがあり、2回目試験は別の役員の方の受験も可能

審査

  • 一般貨物自動車運送事業の許可申請は、主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局に提出します。
  • 申請が地方運輸局で受理されたら、法令試験の案内が申請者に直接郵送されます。役員の方が法令試験に合格すると、審査が始まります。
  • 提出された書類を基に審査が行われます。
  • 審査期間は、4か月~6か月程度かかることがほとんどです。

許可書の交付

  • 登録免許税の納付
  • 車両の登録(営業用ナンバーを取得する)
  • 運行管理者、整備管理者の選任届の提出
  • 事業開始のための保険加入(自動車任意保険、社会保険・労働保険など)
  • 運賃料金設定届、運行開始届の提出(許可から1年以内)