運送業許可取得に必要な5つの要件を詳しく解説

コラム

運送業(一般貨物自動車運送事業)許可を得て緑ナンバーの車両で営業をするには、5つの要件を満たす必要があります。

申請の受付後には役員が法令試験を受験することになりますが、合格しないと他の要件を満たしていても許可がおりませんので注意が必要です。

資金の要件

事業開始に必要な資金を常時確保している必要があります。

運送業許可申請は、特定の必要な金額が定められているわけではありません。申請者ごとの事業計画に基づいて計算された事業開始のための資金を確保する必要がります。

トラックを最低限の5台用意するのか10台かによって資金は変わってきますし、車庫を借りるのか、購入するのかでも必要な資金は違ってきます。

ともかく運送業の許可を取得するには一定以上の自己資金が必要になります。

  • 資金計画に記載する経費の例としては、次のようなものがあります。
    • 人件費
    • 健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料などの法定福利費
    • 研修費や被服費などの福利厚生費
    • 事業用自動車の燃料費やオイル代などの油脂費
    • 外注修繕費や自家修繕費・部品費、タイヤチューブ費などの修繕費
    • 車両の購入費やリース料などの車両費
    • 土地や建物の購入費や賃借料、什器・備品費などの施設購入・使用費
    • 自賠責保険や任意保険などの保険料
    • 新規許可時の登録免許税、その他各種税・租税公課

運送業を始めるには、一般的に600万円~2,000万円程度の資金が必要とされています。トラックの購入方法や物件の所有・賃貸状況などによっても異なります。

原則は銀行預金で確保しますが売掛金も含めることもできます。銀行預金は残高証明書で、流動資産である売掛金は見込み貸借対照表で証明します。現金や、銀行が発行する残高証明に記載された預金残高を審査の対象になります。

なお自己資金の中には、銀行などからの借入金を含むことができます。

人の要件

運送業を開始するには人員や資格など人に関する要件が定められています。

欠格事由

欠格事由に該当すると他の要件をすべて満たしていたとしても許可はおりません。欠格事由は次のとおりです。

(1)1年以上の懲役または禁錮以上の刑を受けてから5年経過していない
(2)一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消しから5年経過していない
(3)許可申請者の密接関係者(親会社・子会社・グループ会社等)が一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可取消しから5年経過していない
(4)一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消しの処分逃れのため自主廃業した場合、その届出の日から5年を経過していない
(5)許可申請者が営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合

運送業許可

5人以上の運転者

最低5台の車両が必要となるので最低でも5人の運転者が必要になります。

申請提出時点で5人の運転者を確保できていない場合でも、許可申請手続きすすめることはできますが、運転者は、日雇いや2ヶ月以内の短期雇用ではなく、事業用自動車を運転することができる免許が必要になります。

運輸開始前報告までに5人以上確保できる見込みがあれば、許可申請することができます

運行管理者

常勤の運行管理者を最低、1名確保する必要があります

運行管理者の人数は車両29台までは1名で、30台ごとに1名増員する必要があります。

  • 運行管理者試験の受験には次の要件のいずれかが必要になります。
    • 1年以上の事業用自動車の運行管理の実務経験
    • 自動車事故対策機構などが開催する運行管理者基礎講習を修了

整備管理者

常勤する整備管理者の確保が必要です。

整備管理者には、一定の整備士資格を持っているか2年以上の実務経験と地方運輸局長の開催する整備管理者選任前研修の修了のいずれかを満たす必要があります。

資格で整備管理者になる場合は、1級~3級の自動車整備士資格のいずれかを持っていなければなりません。

実務経験で整備管理者になる場合は、整備工場、特定給油所、自動車運送事業者などで、点検、整備、整備の管理に関する2年以上の実務経験を積んで整備管理者選任前研修を修了しなければなりません。

実務経験は、勤務していた事業者から証明してもらう必要があります。

なお、整備管理者は運転者との兼任もできます

場所

営業所は都市計画法、建築基準法、農地法などの法令に適合している必要があり、適切な広さがあって借入の場合は2年以上の使用権限が必要になります。

賃借の場合は、借主の名義が個人になっているような場合や、賃借の契約期間の残りが2年未満のような場合は、契約の名義変更や契約の更新が必要になってくることもあります。

施設としては、営業所、休憩施設、車庫、保管施設などを求められています。

車庫出入口の前面道路の幅は、幅員証明を求められる場合もあって周辺環境についての要件も定められています。

営業所の広さは基準はありませんが、営業所として使うためのパソコン、コピー機、事務机、キャビネットなどが置ける広さは必要になります。

営業所に必要な備品が備えられているかどうかの確認のために写真を撮影して運輸局へ提出します。

営業所と車庫は原則として併設されていなければなりませんが、一定の直線距離内であれば離れていても問題ありません。

運送業の許可を取るためには運転者の休憩施設も設置する必要があります。営業所もしくは車庫のいずれかにに併設する必要があります。

休憩施設は、テーブル、イス、ソファーなどを設置すればよいでしょう。

車庫

運送業の許可を取得するには車庫が必要になります。車庫は原則営業所に併設しなければなりません。

車庫は運送業に使用する車両すべてを駐車できるスペースが必要で、駐車した状態で車両の点検ができなければなりません。車両と車両、車両と車庫の間にそれぞれ50cm以上の隙間を確保しなければなりません。

車庫の前面道路の幅員も要件が定められています。前面道路の幅員は原則として6.5m以上であればよいとされています。

農地は、農地転用手続きをすれば車庫として使用することが可能になります。営業所と異なり市街化調整区域でも車庫は設置することはできます。

車庫として整備が行われていることの確認のため、写真を撮影して運輸局へ提出します。

車両

一般貨物自動車運送事業を始める場合は、申請者が使用権限のある5台以上の事業用自動車を確保または確実に確保予定であることが求められます。事業計画上、運送する荷物に応じた車両を確保する必要もあります。

運送業の許可を取得するには、車検証の用途欄が貨物となっている自動車が最低5台必要です。用途が貨物であれば4ナンバーなどの小型車でも問題ありませんが、軽自動車は含まれません。

法令試験

運送業を営むために必要な法令の知識が事業者にあるかどうかの試験です。申請者が法人の場合は法人役員のいずれか1人で個人事業主なら事業主本人が受験します。

運送業許可申請のが受理されると、直後の奇数月に法令試験があります。2回受験して合格できなかった場合、申請は取下げになるので注意が必要です。