キッチンカーで、ランチやデザートが販売されているのをよく見かけます。オフィス街、イベント、最近ではテレワークの導入で住宅地等の在宅者の多い場所での出店が増えました。街中でキッチンカーを見かけると、固定店舗とはまた違ったワクワク感だったり、非日常を感じて嬉しい気持ちになります。
さまざまなところで活動している移動販売、低コストで開業できることに加え、ライフスタイルの変化などから急激に増加しています。「一つのお店」と言う認識で、衛生面、出店場所など法令遵守に力を入れて、まずはキッチンカーから開業をとお考えの方も多い思います。
キッチンカーで営業するためには、食品衛生法に基づく営業許可をとる必要があります。仕込み場所、自動車内での調理加工、必要な給水タンクの容量、食品衛生責任者の配置、その他、細かな基準があります。
営業を行うには、まず、所轄する保健所に営業許可申請を行い、都道府県が定めた施設基準に合致した施設をつくり、営業許可を受けることが必要です。
食品に関する自動車関係営業許可で必要な手続きや準備についてご説明します。
販売に必要なもの
移動販売車(キッチンカー、フードトラック、ケータリングカー)
食品衛生責任者養成講習修了
営業内容により仕込み場所の確保
営業許可の手順
①当事務所へのお問い合わせ
(お問い合わせの際に、営業予定の地域、販売予定の食品、食品衛生責任者資格の有無、移動販売車両のご準備の有無等をお知らせいただけるとスムーズです。)
②お客様と打ち合わせ
③管轄保健所への事前相談(その際には同行させていただきます)
管轄の優先順としては、仕込場所の所在地を所管する保健所、事務所又は自動車の保管場所の所在地を所管する保健所、申請者の住所地を所管する保健所、主たる営業地を所管する保健所となります。
④販売に必要なものの準備
⑤営業許可申請書類の準備・提出
⑥施設検査の打ち合わせ
⑦保健所にて施設完成の確認検査(大田区の場合、大田区役所大田区保健所生活衛生課)
⑧許可書の交付
⑨営業開始
※2021年6月より、施設の手洗い設備の水栓の基準が変わりました。調理場内(製造所、作業場)の手洗い水栓は「洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造であること」との要件が設けられました。営業許可を得るにはこの基準を満たす必要があります。
食品衛生責任者になるには
計6時間程度の養成講習会を受講しなくてはなりません。東京都では、一般社団法人東京都食品衛生協会が食品衛生責任者養成講習会を実施しています。
次の資格を持っている方は、講習会を受けなくても食品衛生責任者になることができます。
調理師、製菓衛生士、栄養士、船舶料理士、と畜場法に規定する衛生管理責任者、と畜場法に規定する作業衛生責任者、食鳥処理衛生管理者、食品衛生管理者又は食品衛生監視員の資格要件を満たす者
食品関係営業を行う場合、食品衛生法施行規則例別表第17に、食品衛生責任者の選任と義務が定められています。
・食品衛生法(以下「法」という。)第51条第1項に規定する営業を行う者(法第68条第3項において準用する場合を含む。以下「営業者」という。)は、食品衛生責任者を定めること。ただし、食品衛生法施行規則(以下「規則」という。)第66条の2第4項各号に規定する営業者についてはこの限りではない。なお、法第48条に規定する食品衛生管理者は、食品衛生責任者を兼ねることができる。
食品衛生責任者が遵守すること
・都道府県知事等が行う講習会又は都道府県知事等が認める講習会を定期的に受講し、食品衛生に関する新たな知見の習得に努めること(法第54条の営業(法第68条第3項において準用する場合を含む。)に限る。)。
・営業者の指示に従い、衛生管理に当たること。
・営業者は、食品衛生責任者の意見を尊重すること。
・食品衛生責任者は、規則第66条の2第3項に規定された措置の遵守のために、必要な注意を行うとともに、営業者に対し必要な意見を述べるよう努めること。
・ふぐを処理する営業者にあっては、ふぐの種類の鑑別に関する知識及び有毒部位を除去する技術等を有すると都道府県知事等が認める者にふぐを処理させ、又はその者の立会いの下に他の者にふぐを処理させなければならない。 (※)
※東京都では「東京都ふぐの取扱い規制条例」により、営業行為としてふぐを取り扱うことができるのは、東京都のふぐ調理師免許を有する者がふぐ取扱所として認証を受けた施設において取り扱う場合のみ認められています。
許可が受けられない場合
・食品衛生法又は同法に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しないこと
・食品衛生法第54条から第56条までの規定により許可を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過しないこと