都市型ハイヤー事業許可申請
都市部を中心に需要が高まっている「都市型ハイヤー事業」を始めるには、国土交通省(地方運輸局)の許可を取得する必要があります。
一般のタクシーとは異なり、完全予約制・定額制で高品質な送迎サービスを提供する形態が特徴です。
当事務所では、都市型ハイヤー事業許可の申請手続きをトータルでサポートしています。
都市型ハイヤー事業許可申請の流れ
- ご相談・ご面談
内容をお聞きして、申請の要件等をお伝え致します。
この段階で、場所的要件、資金的要件、人的要件、車輌の要件、役員法令試験などについてご説明します。弊所でご対応させていただくサービスについて、お見積り金額を提示します。ご納得いただけましたら、契約となります。
- 事業計画の作成
行政へ事前相談をして、以下の内容を含む事業計画を作成します。計画段階で採算性や運行安全体制を整えておくことが重要です。
- 営業区域
- 営業所・休憩睡眠施設・車庫
- 使用車両の台数・仕様
- 運行管理者・整備管理者の選任
- 運転者の選任
- 役員について
- 資金の内訳など
- 営業所・車庫の確保
営業所・休憩睡眠施設および車庫の設置が必要です。いずれも都市計画法や建築基準法に適合している必要があり、次の要件を満たさなければなりません。特に用途地域には注意が必要です。また、賃貸の場合は、契約書に「事業用途で使用可能」と明記されていることが求められます。
- 車庫が営業所とおおむね2km以内にあること
- 車庫が全車両を収容できる広さを有していること
- 近隣の生活環境を著しく損なわないこと
- 車両の準備
都市型ハイヤーでは、高級セダンやミニバン(アルファードなど)を使用するケースが一般的です。車両は以下の条件を満たす必要があります。リース契約の場合でも、所有者・使用者の明確な契約書が必要です。
- 5 両もしくは10両が必要(営業圏による)
- 乗車定員は10名以下
- リース車両でも使用権原があれば可能
- 運行管理者・整備管理者の選任
ハイヤー事業には「運行管理者」と「整備管理者」の選任が義務付けられています。資格者証の写しなどの提出が必要です。
- 運行管理者:運行管理者試験合格者または選任要件を満たす経験者
- 整備管理者:自動車整備士資格を有する者または選任要件を満たす経験者
- 許可申請書類の作成・提出
準備が整ったら、管轄の地方運輸局に申請書を提出します。主な提出書類は以下のとおりです。
- 一般乗用旅客自動車運送事業経営許可申請書
- 定款・登記事項証明書(法人の場合)
- 貸借対照表
- 事業計画書
- 営業所・休憩睡眠施設・車庫の契約書
- 車両リスト
- 損害賠償能力を示す書類(任意保険見積書等)
- 運行管理者・整備管理者の資格証明書
- 役員の履歴書
- 社会保険等への加入を証する書類
- 預金残高証明書など
- 審査・許可
提出後、国土交通省による審査が行われます。審査期間は関東運輸局東京運輸支局ではおおむね4~5か月程度で、資金明細などに補正指示が出されることがあります。無事に許可が下りると、営業開始の準備に入ることができます。
許可取得後の手続き
- 指導主任者の選任届
許可を受けた後は、従業員の安全運転教育や接遇研修を統括する指導主任者を選任し、運輸支局へ届出を行います。運転者教育の計画を定め、ハイヤーサービスの品質維持に努めることが求められます。
- 事業用自動車連絡書の発行
許可証の交付後、運輸支局で事業用自動車連絡書の発行手続きを行います。この書類があることで、陸運局での緑ナンバー登録(種別変更)が可能になります。
- 緑ナンバーへの交換手続
連絡書をもとに陸運局で車両登録の種別変更を行い、営業用ナンバー(緑ナンバー)に交換します。登録内容が「自家用」から「事業用(貸切旅客)」へ変更され、正式にハイヤー車両として使用できます。
- 運輸開始届出
営業準備が整い、運行管理体制・保険加入・車両登録などが完了した段階で、運輸開始届を運輸支局に提出します。この届出をもって正式にハイヤー事業を開始できます。
都市型ハイヤー事業は、インバウンド需要や企業送迎などを中心に拡大が続いています。参入には一定のハードルがありますが、しっかりと準備すれば安定した収益が見込める分野です。