外国人介護人材受入れの仕組みについては、技能実習、在留資格「介護」、EPA(経済連携協定)、特定技能の4制度があります。
こちらのコラムでは、技能実習「介護」について分かりやすくご説明します。
介護職種の技能実習制度について
1993年に創設された技能実習制度に、2017年11月1日の「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」の施行にあわせ、外国人技能実習制度の対象職種に介護職種が追加されました。
2024年6月21日、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する 法律」が公布されました。
それにより、技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度を抜本的に見直し、人手不足分野における人材の育成・確保を目的 とする育成就労制度が創設されます。
政府は、技能実習に代わる新たな外国人材受け入れ制度「育成就労」を創設する改正入管難民法などの関連法を2027年4月1日から施行すると決めました。
技能実習「介護」における要件
技能実習生に関する要件として、外国人技能実習制度本体の要件とともに、介護職種における固有の要件を満たしていなければなりません。
外国人技能実習制度本体の主な要件
- 18歳以上であること。
- 制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者であること。
- 帰国後、修得等をした技能等を要する業務に従事することが予定されていること。
- 企業単独型技能実習の場合にあっては、申請者の外国にある事業所又は申請者の密接な関係を有する外国の機関の事業所の常勤の職員であり、かつ、当該事業所から転勤し、又は出向する者であること。
- 団体監理型技能実習の場合にあっては、従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること。
- 団体監理型技能実習の場合にあっては、本国の公的機関から推薦を受けて技能実習を行おうとする者であること。
- 同じ技能実習の段階に係る技能実習を過去に行ったことがないこと。
外国人技能実習制度「介護」職種固有の要件

(出典:厚生労働省 技能実習「介護」における固有要件について)
外国人技能実習生受け入れの流れ
外国人技能実習生を受け入れるには、「企業単独型」と「団体監理型」の2つの方法があります。
多くの企業が「団体監理型」で受け入れを行っていますので、ここでは、一般的な「団体監理型」の場合の流れのポイントを分かりやすく解説します。
- 監理団体へ加入
技能実習生を受け入れる企業は、まず監理団体に加入します。 - 技能実習生の募集・採用
監理団体を通じて、海外の「送り出し機関」が現地で技能実習生を募集します。
その後、面接や選考を経て、受け入れる実習生を決定します。 - 技能実習計画の作成・提出
受け入れる実習生が決まったら、「技能実習計画」を作成します。
この計画には、実習内容・期間・指導体制などを具体的に記載し、外国人技能実習機構(OTIT)に提出します。
審査に通過すると「認定通知書」が交付されます。 - 実習実施者届出書の提出
受け入れ企業は「実習実施者届出書」を外国人技能実習機構に提出します。
これにより、正式に受け入れの準備段階に進みます。 - 受け入れ準備
書類手続きが完了したら、実習生が安心して生活できるよう、住居・家具・生活用品などの準備を整えます。
生活面のサポート体制をしっかり整えることが大切です。 - 入国後日本語講習
実習生が入国すると、まず1〜2ヶ月間の日本語講習を受講しますが、この期間中は就労することはできません。
講習期間中は、受け入れ企業または監理団体が、技能実習生に手当を支給します。 - 就労開始
日本語講習が終わると、いよいよ技能実習がスタートします。
実習生は、技能実習計画に基づいて受け入れ企業で働きながら、技術や知識を学びます。
監理団体は、定期的に訪問・監査を行い、適切に実習が行われているかを確認します。

(出典:技能実習制度 運用要領 出入国在留管理庁・厚生労働省編 2025年6月)
外国人技能実習生の受け入れには、多岐に渡る手続きが必要です。
制度を正しく理解し、適切なサポート体制を整えることで、企業・実習生双方にとって有意義な技能実習を実現できます。
2027年4月1日から施行される育成就労「介護」については、分野別の具体的な内容が分かり次第、コラムに掲載いたします。
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